吉田医院院長 刑部利雄
これからの季節、戸外で活動する機会が増えてきますがそんな時なんともいまわしい思いをさせられるのが、虫
さされではないでしょうか。虫さされの正しい呼び方は「昆虫刺症」。 蚊、ブヨ、蜂、南京虫、蚤などの昆虫に
よって起こされるものを指していますが、ダニ類、クモ類などによるもの、毛虫などの毒針毛によって起こるものも
一般に「虫さされ」とよんでいます。
虫さされが暖かい季節に多くみられるのは、寒い時期に活動する虫が少ないからで、特にこれからの湿気の多い蒸し暑い時期には虫が活発に活動するため、注意が必要になると思います。
虫さされの予防としては、防虫剤の塗布が有効でしょう。
虫の嫌いな臭いなどで虫を寄せつけないようにするものでエアゾール、クリーム、ローションなどとして市販されています。
ただ、これらの薬剤に過敏症のある人には、皮膚炎などの副作用を起こす危険があるため適しません。
吸血昆虫が好んで寄りつく人と、あまり虫に好かれない人がいることは、ご存じだと思いますが、これは、二酸化炭素、乳酸、卵胞ホルモンなどによって、差があるといわれています。
いずれにしても虫に刺されないためには、皮膚を清潔にして、活動時刻に虫のいそうなところに近寄らないこと衣服を着用することなどがポイントでしょう。
虫に刺されてしまった時には、まず刺された箇所を掻きこわさないこと。刺された箇所を冷やすことも効果があります。痒み止めの軟膏(抗ヒスタミン剤等)を早めに塗布することで、ほとんどの場合は数時間~数日で軽快します。痒みや腫れが強い時には、副腎皮質ステロイド軟膏が有効でしょう。さらに症状が強い時には抗ヒスタミン剤や、副腎皮質ステロイド剤の内服が必要になることもあり、ショック症状などの重篤な全身症状を起こすこともあるので医師の診察を受けることをお勧めします。