吉田医院院長 刑部利雄

今から37年前、ちょうど東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年に、わが国ではじめてスギ花粉症が報告されました。
当時は少なかった花粉症の患者さんも、年々増加し平成8年に東京都が行った調査によりますと5人に1人が花粉症に罹っているといわれています。
単純に日本の人口にあてはめてみると、花粉症で悩んでいる人は2000万人にもなる勘定です。

花粉症とは

よく耳にする「花粉症」という病気は植物の花粉によっておこされるアレルギー反応で、目・鼻などにおこる(ときには喉や気管にも変化がみられます。)病気です。
アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などの総称です。

花粉症の症状

代表的な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの鼻の症状。眼のかゆみ・眼球や眼瞼の充血などの目の症状。そのほか喉のイガイガ感・咳などがみられます。

花粉症の原因

スギの花粉がその原因としては圧倒的に多く、ヒノキの花粉もよく知られています。
また富士北麓地方のような比較的寒い地方ではシラカバの花粉も原因となっていることがあります。
樹木以外では、カモガヤ・ブタクサ・カナムグラなどの雑草の花粉も、原因としてあげられます。

花粉症の治療

花粉症の治療薬には大きく分けて内服薬・点鼻薬(多くは吸入薬)点眼薬があります。
現在一般的に行われている治療法は「予防的治療」です。
これは花粉のシーズンの少し前から治療を始めてシーズン中も治療を続ける治療法です。また症状が出てしまってからそれをおさえるための「対症療法」。根本的に治療するための「減感作療法」などがあります。いずれの治療法も主治医とよく相談のうえ行うことが肝要でしょう。個々の症状や体質、いろいろな検査結果から適切な薬を選んでくれるはずです。

花粉症の予防

スギ・ヒノキの花粉の飛散状況はさまざまなメディアを通して情報が提供されています。
花粉の量が多そうな時の外出はできるだけ避けましょう。また、花粉を家の中に持ち込まない工夫も症状をおこさないためには必要でしょう。外出から帰ったら衣服をはたいて家に入る。
洗濯物や布団を干したら取り込む時によくはたいて花粉を落としてから。などが一般的な方法です。外出から帰った時に洗顔し、いっしょに目や鼻の中も洗うことも効果的な方法です。
マスクやメガネを使用することも鼻や目を花粉に曝させないために有効な方法といえましょう。

今年はスギ花粉に関しては、東日本では相当多い飛散量が予測されています。
これからやって来るさわやかな季節を、花粉症に悩まされることなく快適に過ごしたいものです。

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