ヘリコバクターピロリ?

1979年、オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理専門医ウォーレンが胃炎を おこしている胃粘膜にらせん菌が存在していることを発見しました。ウォーレンは 同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルと共に研究をすすめ、この菌が 「胃に住みついている」ということを確信し、この菌によって胃炎がおこると考えました。 これがヘリコバクター・ピロリで、人間の胃の中に住んでいて、この菌が胃潰瘍・ 十二指腸潰瘍の原因となっているということが、近年明らかになってきており、 さらに胃癌のリスクファクターとして注目されています。

感染していたら?

ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかは、血液中の抗体を検査することで判明します。 抗体価が高い場合は感染の可能性が高いので、医師に相談し除菌してもらいましょう。

ペプシノーゲンって何?

ペプシノゲンは、胃で作られる蛋白質分解酵素ペプシンのもとになる物質です。 ペプシノゲンはその99%が胃内に出て1%が血液中に入ります。 したがって、血液検査でペプシノゲンの量がわかり、それを測定することによって 胃の異常を推測することができます。

何がわかるの?

胃粘膜の老化現象である萎縮性胃炎が進むと、ペプシノゲンの産生が減ってきます。 また、胃粘膜の萎縮が強いほど胃がんも発生しやすいことがわかっています。 すなわち、ペプシノゲン法で陽性になった人(ペプシノゲン産生量の減少している人)は、 胃がんが発生しやすい状態にあるといえます。

胃のレントゲンとどう違う?

胃の検査には、胃カメラをはじめレントゲン検査などが代表的な方法として行われていますが、 予約が必要となるなどの時間的制限や、バリウムを飲むなどの条件があります。 一方、ペプシノゲン検査は血液検査ですので採血するだけで済み、バリウムを飲む必要もなく、 食事制限の必要もありません。また、放射線の被曝もないため、妊娠中の人でも検査が可能なのです。 しかし、だからといって胃のレントゲン検査が不要となる訳ではありません。 ペプシノゲン検査では発見できない胃癌もあることから、基本的には年に一度胃のレントゲン検査を、 2~3年に一度はペプシノゲン検査を受けることが必要です。

陽性だったら癌?

そうではありません。
胃粘膜の萎縮が進んでいる状態です。ただし、胃がんが発生しやすい状態ですので 必ず内視鏡による精密検査を受けて下さい。もちろん、必ずしも今胃がんがあるというわけではありません ので、必要以上の心配は無用です。参考までに、ペプシノゲンの陽性率は約30%で、胃癌の可能性は 陽性の方の中で約1%、強陽性の方で約2%と言われています。 逆に陰性の場合であっても「がんではない」ということではありません。 現在、胃粘膜の萎縮がないということで胃がんの可能性が低いということです。 陰性者でも約1万人に1人の割合で胃がんが発見されています。 年に一度は胃のレントゲン検査を受けておくことが重要です。