肝炎ウイルスって何?

肝炎を引き起こすウイルスのうち、肝細胞内で増殖するウイルスを肝炎ウイルスと 呼び、現在、A型からB型,C型,D型,E型,G型の6種類が確認されています。
肝炎ウイルスは、流行性肝炎(伝染性肝炎)を引き起こすA型及びE型肝炎ウイルスと 、血清肝炎を引き起こすB型、C型、D型、G型肝炎ウイルスの2つのタイプに大きく 分けられます。

流行性肝炎は、感染者の糞便中にウイルスが排出され、糞便により汚染された水や 食物を摂取することによって新たな感染が生じます。原則として一過性の急性肝炎で 終わり、まれに死亡することもありますが多くは自然に治癒します。
流行性肝炎のうちE型肝炎は、東南アジア等で感染して帰国した例が少数あるに 過ぎませんが、A型肝炎は日本国内でも毎年のように小規模の流行が生じ、年間10 万人以上の患者が発生し、時に劇症化して死亡者も出ています。

血清肝炎は、感染者の血液等を介して感染します。
このうちB型肝炎は、成人が感染した場合には、一過性の急性肝炎で終わるのが 普通ですが、小児が感染した場合には、持続感染を生じてキャリアとなり、長期間の 潜伏期を経て、慢性肝炎から肝硬変、肝癌へと進行することもあります。
またC型肝炎は、小児のみならず成人が感染してもキャリア化することが多く B型肝炎よりも高頻度に肝癌へ進行します。
なお、D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)のみが 感染する特殊なウイルスですが、日本での感染者は小数です。

こうしたことから、日本人にとって、憂慮すべき肝炎ウイルスはA型、B型、C型 ということになりますが、日本では肝癌の大部分が肝細胞癌であり、そのほとんどが C型肝炎ウイルス感染が原因であると言われており、C型肝炎ウイルス感染者の分布を みると西日本に発生がかたよって多く、東日本では山梨県と群馬県が突出して多いと いわれています。

B型肝炎ウイルス?

B型肝炎ウイルスは、ヘパドナウイルス属の一種で、その感染には一過性感染と 持続感染の2種類があります。成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合、侵入した HBVの量に比べて宿主の免疫応答が十分であれば、感染した肝細胞は破壊され、 肝炎の症状が現れた後、数ヶ月でウイルスは体から排除されて治癒し、感染は一過性で 終わります。ただし、一過性で終わるか感染が持続してキャリアとなるかは、体内に 侵入したウイルス量と免疫の強さで決まります

C型肝炎ウイルス?

C型肝炎ウイルスは、フラビウイルス科に分類されるウイルスで、その感染は血液を 介する水平感染を主体としています。このウイルスの感染については、非加熱凝固 因子製剤、次いでフィブリノゲン製剤使用による感染がマスコミでも取り上げられ 多くの関心を集めています。C型肝炎ウイルスに感染すると急性C型肝炎を引き起こし そのうち60%前後の感染者はキャリアとなり、非常に長い期間を経て、慢性C型肝炎 に移行します。そして、この中からさらに肝硬変、肝癌へ移行する感染者があります。 C型肝炎ウイルスのキャリアが健康上問題となるのはこのためなのです。

感染が判明したら?

現在では、C型肝炎の治療として、リバビリンやインターフェロンなどを用いた方法が 開発され、効果を上げていますが、治療には長期にわたる医学的管理が必要になる ので、まず医師に相談して最適な治療方法を判断してもらいましょう。