吉田医院院長 刑部利雄

キャンピロバクターは、現在8種類の菌種が知られていますが、腸炎を起こす主なものはCampylobacter Jejuni (キャンピロバクター ジェジュニ)Campylobacter Coli (キャンピロバクター コリ)といわれています。症状は下痢、腹痛、発熱、血便などで、特に下痢、発熱はほとんどの例で認められます。
下痢は水様便で悪臭を伴って、一日に数回~十回程度みられます。この下痢症は本来軽症で自然に治ることが多いといわれています。
しかしなかには敗血症、髄膜炎、関節炎、溶血性貧血心内膜炎、ギランバレー症候群などの合併症を起こすこともあります。

動物の腸のなかに住んでいるこの菌は、ペット、家畜、食肉などからの経口感染によって発症します。年長児では感染しても無症状のことが多いですが5歳以下の小児では、感染すると症状が出る可能性が高いと言われています。また思春期にみられることも特徴です。
この病気がよくみられるのは夏から秋にかけてで、これからの時期注意が必要な病気のひとつといえるでしょう。治療は、食事療法を中心とした保存的な治療でほとんどは大丈夫ですが、症状の強い場合は、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系等の抗菌剤を使用します。
予防の第一は生肉(特に鶏肉)を食べないこと。食品の汚染を防ぐこと。などが必要でしょう。また保育施設等での発症に際しては、できるかぎり検便を行い保菌者との接触を絶つこと。また、おむつの取扱にも注意することが必要といえましょう。

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